2010年11月3日水曜日

[本棚より]スタンダール 佐藤 朔訳 「赤と黒」

 このほど、スタンダールの「赤と黒」を読みました。高校生の頃、友人が読んでいて、ジュリアン・ソレルという名前は覚えていた。以下は、感想です。今後、読まれる方はあらすじを飛ばしてお読み下さい。

[あらすじ] 1830年代、フランスの片田舎の大工のせがれ、ジュリアン・ソレルは背の高い細身の美青年だった。家庭教師に入った家のレナール婦人と道ならぬ恋をし、パリに出ては、秘書となった公爵の娘マチルドと恋に落ちる。当時のフランスの貴族の女性がいだく、差別感、世間体、高貴な女性の乗り越える幾多の心理的葛藤、ついに2人の愛と恋にジュリアン・ソレルは自らが、断頭台の露と消える結末をもって、小説の幕が閉じられる。

[恋愛小説の一究極]スタンダールの女性心理を透徹した筆力に酔ってしまう。
わが国の平安時代の「蜻蛉日記」、「和泉式部日記」、「源氏物語」といずれが上とも下とも判断できかねますが、違いは、男性が書いているところがミソで、スタンダールの観察眼に感心して脱帽します。読むその年代により、感動の度合いは異なるだろうと思います。それは本との出会いですので、各人のおかれた環境に任されています。名作とよばれているものは、いつ読んでも素晴らしいものが多く、人生を豊かにしてくれます。人生の充実を感じた数日間と読後も心を奮い立たせてくれます。名作ってすばらしいものです。(10.11.3)