1989年の発行、昨年末から各年末に放映されたNHKTV「坂の上の雲」の、ロシア軍艦を発注したボストンのアメリカ造船所の風景や、日露戦争講話会議の行われた、ポーツマスの小村基金の話など、面白く再読した。いくつかを拾い出してみよう。
1 アメリカは産業構造の変化をそのまま都市として放置している。東海岸の鉄鋼業でかって栄えたフィデラルフィア-造船・鉄鋼業の廃墟がそのまま-他にも自動車のデトロイトも荒廃が進んでいるだろう。
2 西部のカリフォルニアでは、雨の降らない砂漠地帯を、地下水をくみ上げて、農作物を収穫して、世界に供給している。
3 ニューヨークでは、投機を商品化して金融増殖しているが、あれでいいのだろうかと、リーマンショックの約20年前にその危機を発言している。
4 前文で書いたが、日露講和に世話になったとして、日本全権大使の小村寿太郎が、基金を提供して、1989年当時も運用されているとのこと。
5 WASPとよばれるプロテスタント系のアングロ・サクソンの主流白人に対して、カソリック系の白人アイッシュの話。
6 ゲイが自らの主張を通して堂々と町を闊歩している話。
司馬遼太郎氏が、2度にわたるアメリカ旅行で、感じたことを文明批評的に書いている。それは日本にも響いているし、アメリカ自体にも問いかけている。1989年当時、ビジネスの世界まっただ中での第1回目の読書、「品質」のところにメモを挟んでいた。それから20年、アメリカの金融危機の後に、アメリカの混沌とした実態がわかって、読んでみたが、司馬遼太郎氏の慧眼は今をも見据えています。むしろアメリカよりこんとんとした次代のお金の先食いして環境を悪化させている、「日本素描」が誰かの手によって、世に出されることを求められているようだ。(10.6.27)
2010年6月27日日曜日
[本棚から] 「アンクル・トムの小屋」上・下 ストウ夫人
1850年当時の北アメリカ、ケンタッキー州、ルイジアナ州のニュー・オリンズに展開される、奴隷たちに愛惜の眼で眺めた物語です。縦糸は「アンクル・トムのキリストへの深い信仰心」、横糸は、親子がひきさかれる悲しい様々な奴隷たちの登場でした。
しいだけられる黒人アンクル・トムにとって、聖書は、はだみ離さずもつ唯一のやすらぎの源です。しいたげる白人奴隷主に、むちうたれても白人奴隷主へ神への赦しを、願います。これほどの神への愛があったこと、それはストウ夫人の「奴隷制度へのにくしみ」と「キリスト教」への帰依が、この小説をつくらしめ、書かずにはおられない怒りの決意が時代を超えて今だに、こころに響いてきます。
この小説が書かれた後、1861年、南北戦争が起こり、1865年北軍の勝利の後に、奴隷制度が廃止されました。
私たちは、時代に何かを訴えねばならないという熱い想いを、持つべきだとこの小説は教えてくれます。ストウ夫人(1811-1896)
しいだけられる黒人アンクル・トムにとって、聖書は、はだみ離さずもつ唯一のやすらぎの源です。しいたげる白人奴隷主に、むちうたれても白人奴隷主へ神への赦しを、願います。これほどの神への愛があったこと、それはストウ夫人の「奴隷制度へのにくしみ」と「キリスト教」への帰依が、この小説をつくらしめ、書かずにはおられない怒りの決意が時代を超えて今だに、こころに響いてきます。
この小説が書かれた後、1861年、南北戦争が起こり、1865年北軍の勝利の後に、奴隷制度が廃止されました。
私たちは、時代に何かを訴えねばならないという熱い想いを、持つべきだとこの小説は教えてくれます。ストウ夫人(1811-1896)
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