ウォルフガング・ムルンベルガー監督「ミケランジェロの暗号」(2010年オーストリア映画)は、第2次世界大戦の際、ユダヤ人画商一族カウフマン一家が、密かに保存するミケランジェロの素描画をめぐって、ナチの争奪に対する、抵抗の物語。別に読んでいた、エクトール・フランシアーノ著「ナチの絵画略奪作戦」(ヒトラー、NO2のゲーリングは名画をこよなく好んでいた。ヒトラーはユダヤ人画商からアーリア人のかいた名画を収奪して、オーストリアのリンツに美術館を建ているつもりだった。現在も略奪したナチの絵画が、モドリ手を失った名画がルーブル・エルミタージュ他に保存され、一般の閲覧に供されている。)も背景を知る上で有益だった。
この作品の見所を3点まとめてみました。
① 戦前(不穏なユダヤ人に対する風当たり)戦中(一挙に、ユダヤ人が追い詰められて
収容所へ移送される危機が生まれる)戦後(アメリカ軍が進駐する)と画商をとりまく世界が変転していく。
② 主題は、ナチスがムッソリーニに協力関係を強めるため、カウフマン一家のもつ、ミケランジェロのデッサン画を獲得して、提供し有利に同盟関係を展開しょうとすること。そこのところがアーリア系の一家の使用人が、からみ、カウフマンの1人息子との熾烈な知恵を尽くした対決が面白い。
③ ユダヤ人をものともしない人種観や、ナチの軍部にあることなかれ主義や独裁者の「ミケランジェロ獲得」の絶対命令の中で性切羽詰った軍部の対応等々、手に汗握る展開がある。戦後のあっけらかんとした変転も、「戦争は何だったのか」と思わせてくれる。
娯楽大作でした。シネリーブル梅田で公開中です。(☆☆☆☆)(‘11.9.27 中川 昌弘)
2011年9月27日火曜日
2011年9月5日月曜日
[エッセー]贔屓(ひいき)
「人生を豊かにするのに贔屓をもつことがある。」そんな主旨のことを谷沢永一「人間通」に書かれていた。
私の場合、プロ野球は「日本ハムファイタース」、クラシック音楽は「モーツアルト」
9月4日「日本ハムファイタース」対「オリックスバッファローズ」を京セラドームに見に行った。結果は3-5で日本ハムファイタースが敗れた。最近の球場の変容に驚いた。電光表示で、バッターの経歴が出る。これを見ていると、カーンと音がして打球のいくえを見失う。TVでは、点の観戦だが、左右上下奥行きと立体感があった。シーズン最後まで残り1ケ月、楽天とオリックスの3位争いが熾烈。2位の日本ハムは、優勝目指して、首位ソフトバンクに、挑戦していく。おもしろい9-10月だ。
クラシックは。いろいろと聞く中で、「モーツアルト」。気楽なようで、深い。理屈ではない。こころが充たされる。
「「贔屓」は、自分との約束で、将来かえてもよい。人生を豊かにしてくれるなら、しばられることはない。」と谷沢永一はそのような主旨をいっておられる。だが、当分の間、これらの贔屓はかわらないだろう。(2011年9月5日 中川 昌弘)
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