11.11(火)公開講座フェスタ2008で大阪市谷町4丁目のさいかくホールにいき、関西大学教授 竹内 洋教授の「ポスト格差社会論:信頼社会の構築にむけて」を聴講しました。
氏の講演の要約をすれば「現在は、格差社会というより、格差感社会であり、お互いを信頼しない”不信社会”であり、お互いが信じあえる、信頼社会の構築にむかうべきである。」とのことであった。
格差社会について:江戸時代にももっと厳しい士農工商という格差があったが、誰もそのことを問題にしなかった。経済格差が増えると、凶悪犯が増えるという説があるが、そこまでいっていない。格差があるとマスコミにあおられて思い込んでいるが、現実は格差感社会ではないだろうか。
信頼社会について:カラオケ社会というべき状態で、人に自分のことを一方的に聞かせるが、人の歌(こと)はきかず、次に何を歌うか(話そうか)としている。学生がよく、自分探しというが、親・親戚とつながっているはず、つながりの中に自分がいることになっていない。日本で臨床心理学がはやっているが、これは、自分がどうしたらよいかと相談する人を探しているから。中国ではそのニーズはなく、親・親戚・友人とつながっているのだろう。夏目漱石が「それから」で主人公のダイスケにいわしているが、「昔は人と人がつながっていて、よかった。(日露戦争後)どうもバラバラになってきてよくない。」といっている。これからもわかるように、かなり、以前から、人と人とのつながりが希薄となつてきている。
これからは「つながり」の中で自分を考えることが大切である。
示唆に富んだ講演でした。格差については厳然と広がりつつあるという認識を持っています。これは、就業人口の1/3が非正規社員となっていることが所得格差を生み、若年層に「富むルーチンの人たち」と「貧しいルーチンの人たち」に2分化していることが、活力をそぎつつあるのではないでしょうか。この解決の糸口は見えず、グローバル化と金融不安による不景気が更に非正社員の数を増やす傾向にあるのは困ったことです。もう一つは、IT化による対面コミュニケーションの減少と、アメリカの金融危機で見られた机に座っての”浮業”で簡単に稼ぎ、簡単に無くす、汗のかかない”産業”が蔓延しつつあることでしょう。
信頼社会をつくっていくことは、大賛成です。先日、NHKTVでカンサンジュンさんが夏目漱石の「こころ」を解説されていたが、真にこころを許せる人を見つけることは難しく、またそれが人生の大きな目的であり力となるというようなことを、いっておられた。親・親戚と深くつながり、信頼の置ける人を見つけてその友情をはぐくむことが、人生の大きな力となると思いました。(WELL BE)
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