2011年3月4日金曜日

[エッセー]マイブックに描く心の旅

 マイブック(文庫本タイプの空白の日記ノート)新潮文庫340円(税込)を3年ほど使っている。中身は色鉛筆でその日その日のことを絵にする。素人目ながら、毎日描いていると多少はうまくなるもののようだ。きっかけは、妻からプレゼントされたことと、脳の活性化のために、その日のことを画像化すると、よいとの情報を得たからだ。画題の例は、観た映画の印象的なシーン、思い入れのスポーツの選手像、読書中の本の表紙、風景、植物、気にいった漫画・・・・。3年ほどたった今、その感想を記して参考になればと思う。

① 前日の3食を手帳に記しているが、絵を書いている以前は言葉として思い出していたが、現在は映像で覚えるようになっている。前夜の夕食の食卓をビジュアルにカラフルに思い出す。これは絵を描いているからだろうと思う。

② 風景や事物を見た場合、対象を視覚的に左右、上下、遠近と脳で分解し、再構成していることに気がつく。つまり絵を描くように脳でシュミレーションしている。このことは何気なく通過する事物、風景を分析的に見ていることになる。どんなメリットがあるかは知れないが、脳を活性化していることには間違いない。

③ 日によって、余裕のある日は、じっくりと描ける。この場合に達成感が生ずる。いわゆる「ヤッター!」という感覚だ。時間がないと新聞等から題材を探し、義務感で描く。この場合おもしろくもなんともないが、たまに自画像も描く。結構これがおもしろい。自分を客観視するのも、よいことだと思う。

 別に書いている日記は、一日のけじめをつけている。見直すことはほとんどない。
 マイブックに描く絵を、ときどき、ぱらぱらと振り返る。一瞬に過ぎ去る過去たちが、現在という時間を生きているということを知らせてくれる。人に見せることのないこころの旅路だ。(H23.3.4 中川 昌弘)

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