2011年5月8日日曜日

[本棚から]「日の名残り」カズオ・イシグロ著 土屋政雄訳 ハヤカワepi文庫

 <カズオイシグロ>1954年長崎生まれ5歳の時、家族で渡英。ケント大学で英文学を、イースト・アングリア大学で創作を学び、1989年長編3作目の本作で英国で権威のあるブッカー賞を受賞。

 <あらすじ>品格ある執事の道を追い求めて生きてきた主人公、ステーブンスの1956年7月の英国南部地方の数日の旅の物語。
 ステーブンスの現在は、オクスフォードシャーのダーリントンホールのアメリカ人の執事となっている。元女中頭ミス・ケントンを尋ねることを旅の目的として、現主人ファラディー氏のフォードを借りて英国の田園風景の中をドライブ旅行する。
 旅の途中に思い出すこととして、元の主人ダーリントン卿の第一次と第二次の世界大戦の間の、非公式の外交交渉の舞台裏を執事として見聞きしたことを緻密な筆致で描き出す。
 その間、執事とは?人間として何を目指すのか、人間の品格とは?とかってから考えたことを述べていく。ドライブ旅行で出会う村の人々の考え方も紹介される。

 The Remains of the Day「日の名残り」夕日は美しく輝く。人生の夕日も、なおまた、美しい。カズオ・イシグロは、繊細な日本人の遺伝子を持って、英国のことを、人間のことを執事の言葉を借りながら、英国の村人の言葉をかりながら述べていく。(2011年5月8日中川 昌弘 ☆☆☆☆☆・・・是非ご一読をお勧めしたい)

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