2011年10月10日月曜日

[エッセー]ドイツをかいまみて思うこと

 この3ケ月ほど、ドイツを勉強しました。

 ドイツは約200年前まで300の領邦国家等に分かれ、有力な7人程度の選定候で多数決で神聖ローマ帝国皇帝を選び、分権割拠しナていましたが、ナポレオンの進攻により、39の国に整理され、プロイセンのビスマルク等の活躍で140年前にドイツ帝国となりドイツが統一されました。その後、2つの世界大戦の引き金を引き、62年前に東・西ドイツとなり、21年前に統一ドイツとなりました。
第2次大戦以降、フランスと協力し、EU設立の中核として、国土35万km2(EU中4位)人口8209万人(1999年)GDP2兆ユーロ(EU15の25%)EU予算拠出(同19.6% 参考仏=17.6%英=11.9%ギリシャ=2%)また環境先進国として2002年に2022年には原発(現17基稼動)を0に、再生可能エネルギー35%(現在17%)にと打ち出しています。

① 政治面 明治時代、大久保利通は遣欧使節団を派遣した際、ドイツのビスマルクの官僚制を学ぶべきものとして、今日の日本の国の元となる官僚制を築きました。明治以降の富国強兵策を推進した日本はドイツがこの意味で発展の起因となっております。


官僚制のもとはドイツにあります。(官僚制をチェックして行き過ぎを是正する装置がなく、官僚制の問題が今日に至っています。)

② 芸術面 音楽はバロック時代(1600-1750年)バッハ、古典派時代(1750-1900年)オーストリアのハイドン・モーツアルト、ベートーベン、楽劇のワーグナー(ザクセン王フリードリッヒ2世が17年かけてノイシュバンシュタイン城を創りワーグナーの楽劇の壁画でかざり、バイロイトには歌劇場をつくり今日もワーグナーが年一回上演され、数年間予約でうまっています。フリードリッヒ2世は精神病で後に退位)他が活躍しました。これは当時39~300もの領国に分かれ、寺院もふくめて、有力な楽団を擁していた社会背景もあったでしょう。今日、CDとして手軽に楽しめているのは当時の作曲者の苦労を思うと、あり難いことです。詩ではH・ハイネ(ローレライの作詞でも有名)、H・ヘッセが生と死をテーマとし、小説ではトーマス・マン(療養生活者の真剣に生死愛を探求する「魔の山」)、ゲーテ(悪魔に精神を売ってギリシャ神話のヘレンにも恋する「ファウスト」60年にわたり創作した)が真面目に人生と向き合うことを語っています。(尚、ドイツの領域は変転して現在に至っていますが、オーストリアについては中世はドイツの領域でした)

芸術遺産、とくにクラシック音楽が世界の人々を楽しませています。

③ ドイツと日本 以前から知っていたことですが、ベルツ他が明治時代初めに来日し、後の東大の医学部となる先駆をなした医学での貢献があった、カルテにドイツ語習慣があるのはそのためでしょうか。草津温泉もドイツのバーデンバーデンの温泉を日本にもと、ベルツが開発に関与したと記憶しています。1940年のヒトラーと松岡外相が握手した日独伊三国同盟は、にがい過去でした。ともに壊滅的な敗北におわりましたが、ともに勤勉さと真面目さと清潔さと地道な努力で立ち直りました。
 
どこか似ていると感じるドイツと日本ですが、ともに正念場の時を迎えているようです。

 現在債務過多をかかえるギリシャ他の国をかかえるEUを、当初の理想に向けてドイツに頑張ってほしいと思います。また東アジアでは、興隆するGDP1位の中国の背を見ながら、震災復興と超円高で苦しむわが国は、膨大な国債発行残高をかかえ産業空洞化するままに進むと危うく、今後10年20年先を見据えた、財政再建プラス日本再建ビジョンが必要とされています。ドイツのことを勉強してそう思いました。(2011.10.10 中川 昌弘)

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