2009年6月19日金曜日

定訳「菊と刀」ルース・ベネディクト長谷川松治訳 を読んで

 ルース・ベネディクト(1887-1948)は第2次世界大戦の折、米軍の委嘱を受けて、日本及び日本人のことを研究した。その研究成果が「菊と刀」として戦後出版された。日本人の捕虜や日系人の取材を重ねて、日本の歴史を勉強してとりまとめたもの。本題は「菊」に代表する文化の伝統と「刀」に代表する武・鍛錬が表裏のように織り成しているのが日本人だとしている。戦後の日本人の特質を以下に5つご紹介しょう。

① 日本人は天皇の命(めい)をうけ、戦争をやめることができた。しかも、とりたてて何の混乱もなく。戦争に負けたのを、誰も天皇のせいにしなかった。
② 鬼畜米英と叫んでいたのに、コロッと態度を変え、アメリカ軍に好意的であった。このことをアメリカ人は予期できなかった。
③ 「各々ソノ所ヲ得」と階級を是認し、世界に適用しょうとして戦争をはじめたが、失敗した。(世界の国々を序列して、その場所を得さしめると、日本の理屈を強要)
④ 恩の貸し借りで常に緊張している。(ちいさな貸し借りを覚えイーブンとしょうとする。)
⑤ 日本人の幼児期は、天真爛漫に過ごし、年を取るに従い、自己を抑圧(しんぼう)する。(西欧人は逆で、幼児期はしつけられ、年を取ると自由。)時として、二重性(従順にして傲岸)となる。

 日本人としてドッキリする指摘をされている。戦後65年経ったが、コロッと考え方
変える点、ビジネスで革新を叫び、過去の常識は、現在の非常識として変えようとするエネルギーが今も存在する。ニートのように生き方を知らない若者が、ある日、突然にめざめ、変身することがある。日々、恩の貸し借りで計算し疲れ、無礼講として大騒ぎする。我々日本人には根本的な宗教的な精神の支えがなく、それはアニメに解を求めにいったり、村上春樹の小説に向かったりする。つまり「道標」を探しているのだ。われわれ日本人は、現在のところ経済のグローバリズムをむかい、個人さえよければ他人はどうなってもよいとなっているようである。

 日本人とは何かを知るのによい今や古典的書籍である。(WELL BE)

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