村田喜代子著「百年佳約」を読みました。渡来陶工の子孫たちの結婚群の物語でした。
先祖が生まれた朝鮮から、日本に渡ってきた江戸時代、亡くなった百婆はあの世から、子孫たちの結婚の路をつける。死んだものたちの結婚も「冥婚」としてあり、一旦、破談になった婚約を再度成立させるため、「木婚」というものもあることを知りました。雌雄異株の雄の木を選び、木と結婚式をあげた女性は30日間、人に会うことも、しゃべることも一切無い。髪の毛を3本、木の根元にもぐりこませる。毛を抱きこんで木が根を張っていきます。30日が過ぎると、破談になった人と正式に結婚できます。
亡くなっている百婆はあの世から渡来人と日本人の組み合わせもつくり一族の繁栄を模索していきます。また、当時、九州の村では、日本人の間には「夜這い」の風習があったおおらかな時代であったこともわかってきます。
村田喜代子さんの短編小説集「八つの鍋」もよみましたが、日常生活の食や繰り返し作業に興味をむけて、こつこつと描く作風ですが、食や作業は身近なことであるだけに、親近感をもって読むことが出来ます。結婚という人生の大事も、子沢山であった当時の一族の繁栄を願う、先祖の祈りが、とうとうと流れていました。おもしろい、前向きな力を得ることの出来る楽しい小説でした。(WELL BE)
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