2008年9月16日火曜日

父が娘に語る「ヨーロッパ」(2/5)

グローバル化とワリをくう人々と国

 ルネサンスはイタリアからフランス・ドイツへ向かっていく。この時代の大きな出来事は、11世紀ごろ中国で発明されてイスラム経由でヨーロッパに入ってきた、羅針盤だ。航海術のレベルアップとなり、船は多くの人で漕ぐガレー船だった。コロンブスによるアメリカ発見、バスコ・ダ・ガマによる喜望峰周りのインドへの到達によるグローバル化の第一歩が記される。マゼランは世界一周を果たす。グローバル化は16世紀からはじまっている。タバコ、じゃがいも、トマトがアメリカからヨーロッパに渡る。東洋の香料=胡椒がヨーロッパにもたらされる。胡椒は肉の保存に必要だった。遠洋航海による貿易で富を蓄積した、スペイン、ポルトガル、次いでオランダが隆盛してくる。イギリスでは、グローバル化の後の食卓にはインド方面からの紅茶、アメリカからの砂糖が輸入された。

 聡子、これらの生産地は植民地化していくのだよ。アメリカの労働力はアフリカから奴隷として提供されたのだよ。一つの国が、楽しい食卓やティーパーティーを囲むと、他方で、安い労働を提供してこれを満たしていく構図が出来る。英米合作映画「おいしいコーヒーの真実」(2006年)によると現在のコーヒーも一杯330円のコーヒーとすればエチオピア等の農民にわたるお金は3-9円、生活し教育を子供にするためには2倍のお金がいるといっている。世界の15歳以上の非識字者9億人15%、後発途上国では60%の人が字が読めない。無知な人々の搾取の上においしいコーヒーが飲める現実があるという構図だよ。16世紀から20世紀はそのようなヨーロッパ先進国の住民の満足のために他方が搾取される歴史といってそう誤りでない。

 綿花をインドから安く輸入して、少ない人手で織物を織って付加価値を高めて輸出して利益をあげる、そのために紡績機械が必要となる、人や物の移動手段も必要となって蒸気機関車の発明といった産業革命もその延長線上に考えられるのだよ。また今のアフリカ問題も奴隷売買の行われていたころからのワリをくっていることの延長線上にあるといえる。1500-2000万人という、黒人労働力がアメリカに移動して、農産物を作るための過酷な労働を強いられ、アフリカでは金ダイヤモンドの産出にも駆り出され、白人はよい上澄みのところをとってきたと思うよ。アフリカの低迷は今に続いている。16世紀以降ヨーロッパ内部でも経済的な覇権をアジア・アメリカ・アフリカに植民地を作る事によって競い合ってきた。オランダ、スペインが新航路開拓によって新世界が発見されて、16世紀半ばから興隆する。またイギリスとフランスは君主制をひき10世紀以降、たびたび戦ってきた。100年戦争というのもあった。イギリスの方が優勢で、ヨーロッパ大陸の今のフランスの領地を一部得ていた。

グーテンベルクの活版印刷機の発明

 15世紀の半ば、ドイツ出身のグーテンベルグは活版印刷機を開発し、ラテン語の聖書を印刷した。一冊、当時の一人の年収の2年分だったようだ。高価だが、聖書の普及という地底水脈として脈々として流れ、ローマ教会に対抗するプロテスタントを生み、宗教改革につながっていった。ヨーロッパの民衆レベルの精神的改革に大きなインパクトを与え、やがて国家をローマカソリックのくびきから解放していくのだよ。

フランス

 劣勢のフランスを持ち返したのが、ジャンヌダルクだ。イギリス軍に一泡も二泡もふかせたのだった。その後の帝政は1792年の革命によって一旦は滅びるが、ナポレオンがかってのローマ帝国の再興が頭にあり、ヨーロッパ・アフリカを統一しょうとして立ち上がり、フランク帝国をつくった。ナポレオンはロシアに攻め入り敗れる。フランス人は起死回生の一念をもち立派な文化をきづいているという自負と気位が高いのは歴史のせいだと思う。フランス料理も人々に洗練されてきたので、おいしいね。(WELL BE)

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